慢性的ドラマチック欠乏症

そのロマンスで救える命がある

「テニミュ」という総合エンターテイメント

2023/3/17の日記

※注意

本記事を書いた人間は「テニスの王子様」というコンテンツ全体に対してにわか知識しかありません。

認識が間違っている点などが多々見受けられるかもしれませんが、そっと目をつぶってください。直ちに是正すべき間違いであればコメントで優しく教えていただけると幸いです。

テニミュを観た

ミュージカル「テニスの王子様」4thシーズン 青学VS氷帝 2023年1月7日(土)17:30 東京公演【初日:スイッチング映像】を観た。

経緯としては自ジャンルの舞台の推しを演じる俳優さんがちょうど今配信が買えるテニミュに出ていることを友人のテニプリの女に教えてもらったからだ。

加えて、これまで私は人生の半分以上の時間をオタクとして過ごしていながら「テニスの王子様」という巨大かつ絶大な人気を誇るコンテンツに断片的にしか触れておらず、とりあえずオタク一般教養として真剣に触れておきたいと思ったのもある。

ちょうど配信が買える期間だったこともあり、友人からおすすめの回を指南いただき私はテニミュを観るに至った。

ここからは断片的に強く印象に残った部分を書き記していく。

引き込まれるというか、気づいたらそこにいる

開幕、主人公から見てライバル校である氷帝の厳かで美しい曲からスタート。

爆裂に歌が上手い跡部様を中心に、チームメイトたちが跡部様を讃えて舞い、担いだりもする。

さながら跡部神輿である。

あと扇のようなフォーメーションになる場面で跡部様の側近のようなポジションの樺地だけ横並びではなく背後にいたのがすごく良かった。

幕が上がった時こそ独創的な形のセットに驚きこそしたが、たった数秒でそれが気にならなくなるくらい物語の世界に没頭してしまっていた。

 

違和感のない場転を挟み、青学サイドの学校での一コマ。

時折忘れがちになるが、彼らがまだ中学生の少年であることを思い出させてくれる。

試合に出るレギュラーを決めるための部内試合シーンでは、違和感なく名前と顔と特技を一致させてくれる。これは初心者にも優しい。

これは後の展開になるが、氷帝との試合の中でも大石君は優しい人なんだなとか、タカさんは熱い人なんだなとか、不二先輩は天才の人なんだなとか、今まで自分の中でぼんやりとしかわかっていなかった部分が自然に補完されていくのを感じた。

舞台を見ながら自然にキャラクターの個性がわかるようになっている。すごい。

息つく暇もなくエンターテイメント

大会の組み合わせ発表という場面だけ切り抜くと地味に思えるイベントも、ここはテニミュ。めちゃくちゃ楽しいアイドルライブを見ているようだった。千石君はカメラにいつ抜かれてもキラキラしていてすごいなと思った。

個人練習のシーンはさらっと見てしまっていたが、これが幕間に効いてくるとは思いもしなかった。

試合が開始しても驚きの連続だった。

「演技しながら歌いながらアクロバットもする」って成立するんだとか、実際にはライティングと動きで表現するしかないのに、「重い球」ってわかるのすごいなとか。

休む間もなく「すごい!楽しい!かっこいい!」とさまざまな角度から感情を刺激される。

ものすごい量のエンターテイメントを浴び、1幕が終了。

 

さて幕間は休憩するか、と思っていたらタカさんのお父さんによる気楽に見れる前日譚のコーナー…だと思っていた。

気を抜いて見れるコミカルな息抜き寸劇かと思いきや、急に…音頭!?

なに!?河村音頭ってなに!?歌上手いし!?皆さんご一緒にってなに!?!?!!!?

理解が追いつかないまま2幕が始まった。

激アツの展開

動きを見せるためあえて投影演出は控えめにする試合もあれば、技のダイナミックさを見せるためスクリーンを大々的に使う試合もある、といったキャラクターの個性に合わせた舞台演出の使い方に感心している間に今大会の激アツカード手塚VS跡部戦。

跡部様、歌が上手すぎる。この歌声だけで配信3700円分のもとが取れるどころかお釣りが来ている。

手塚部長も歌が上手い。この勝負、ミュージカルという部分でめちゃくちゃ見応えがあるなあと思って見ていたが、テニミュはそんなもんじゃなかった。

過酷な戦況で両者疲弊する中、音楽がしんと止む。

そして、跡部様と手塚部長が歌い出す。

アカペラで。

鳥肌が立った。心が震えた。

(にわか知識から見て)冷静を崩さないクールキャラである2人が、お互いの意地で熱く泥臭い勝負を繰り広げている。それを余裕のない荒々しいアカペラで表現している。

演者の演技力と歌唱力を信頼した上で成り立つ凄まじい演出だと思った。

めちゃくちゃ熱い試合だった。今回、ここが1番好きかもしれない。

ネタを食らわば原典まで

最後のカード、越前VS日吉戦。

これ知ってる!!!!!!!!

これ知ってるよ!!!!!!!!

そうやって進研ゼミになっていたのも束の間、1幕〜これまでの物語が脳裏をよぎる。

この試合に至るまでこんなドラマがあったんだな…ドラマの積み重ねの上にこの一戦があるんだな…

あの動画しか知らなかった自分が急に恥ずかしくなった。

(大元の原典は原作コミックだが)ネタを食うなら原典も見ておいた方が圧倒的にいいなと思った。

1番小さくて1番大きい男、越前リョーマ

VS日吉戦のリョーマ君、すごかった。

歌う、飛ぶ、舞う。

全てにおいてダイナミックだった。

手足の使い方なのか、どんなキャラよりも大きく動きコートを飛び回っていた。

「1年の天才スーパールーキー」のカリスマ性を肌で感じさせられた。

ラストの一球が構図的にとても美しく、まさかこの独創的な形のセットは全て彼のこの一球のためにあったんじゃないか?とすら思ってしまった。

越前リョーマ、すげえよ。

放心状態のまま、2幕が終わった。

 

その後の観客参加型ライブパートに関しては1匹の雌の獣として湧いてしまい言語能力を失ってまったため、割愛する。

総括

テニミュは「便宜上ミュージカルという名のついた『総合エンターテイメント』」だった。

「ミュージカル」という枠には収まりきらない、多分「テニミュ」という1ジャンルなんだと思う。

あの手この手で観客の楽しいという感情の受容体がぶっ壊れるまで全力で「エンターテイメント」をやる。

それが「テニミュ」なのだと思った。

 

素人の感想で恐縮ではあるが、良い体験だった。きっかけをくれた友人に感謝である。

 

などと悠長にしているが、来月は自ジャンルの舞台である。

来月の自分は、果たして生きているだろうか。