2023/4/28の日記
湊大瀬ヘルブレイク
湊 大瀬「Hell lazy, Psychology.」
今日はこの話をします。
サブスクにもあるからぜひフルを聞いてね。
第一印象
ゆったりとした切ないバラードだった1stブレイクに対し、めちゃくちゃ激しいバンドサウンド、シャウト、ラップ。
だが大瀬らしからぬ…というわけでもない。
彼が自分自身にだけ向ける凶暴性はもともと話の中で明示されていた。そこにライトを当てた(当てられた)のが今回の歌、という印象だった。
重厚感のある、迫り来るバンドサウンドの中で苦しそうな大瀬の少年のような声が光る。
「小さいハコで爆音で聴きたくなる歌」だった。
武装した外骨格と柔らかく冷たい臓器
ここからは箇条書きで失礼する。一刻も早くこの記事を吐き出したいので。
- 淡々とした罵倒の言葉を慣れたことのように受け流す大瀬のセリフからはじまる。偉ぶっているわけでもないのにその声はいつもより自信にあふれており、自暴自棄な危うさがある。
- そこからのシャウト。脳が揺れる。最高!
- 「悪人は裁かれます」後々にも出てくるモチーフではあるが、閻魔大王を彷彿とさせる。その後の「ない」の連発は音としては気持ちがいいが言葉としては悲痛だ。「かすかな希望」、持っていた頃もあったのだろうか。
- 大瀬の自虐日記。挙げられている行事はだいたい「生死」に関する行事だなとなんとなく思った。元旦はそこまであからさまではないにせよ、残り3つは海外版お盆ことハロウィン、キリストの生誕を祝うクリスマス(日記の日付はイブだが)、そして作中で判明した大瀬の誕生日。6月の誕生日、雨多いよね〜。自分もその辺の日の生まれだからわかるよ。
- サビ!「第九の地獄」について、あくまで憶測で述べる。八大地獄という概念がある。様々な説の一つに「地獄は八つである」というものがある(厳密には八熱地獄とその近くに八寒地獄がある、というやつ)。この曲では、おそらくそれにプラスワンする形で現世を「第九の地獄」と言っている。…と、思う。確証はない。一般的に「第九」と言われるとベートーヴェンの交響曲第九番がでてくるが、それが「歓喜の歌」なのもなんか皮肉ですね。
- 「袋小路で無念のメタモルフォーゼ」、今までいい意味のメタモルフォーゼを扱った作品にばかり触れてきたので「袋小路」「無念」と結びつくとは思っていなかった。でもドラマをなぞれば当然の結びつきなので、マジでこの曲は大瀬2ndブレイク回のすぐ後に聞いてこそ意味がある。
- 「このままずっと血溜まりの中で生きて」ここでふと血の池地獄を連想した。本来は「性」に関する罪で落とされる地獄らしいが、「死にたくても死ねない体でもがき苦しみ続ける地獄」という意味では大瀬にとってそれは現世を生きることに近いのかもしれない。
- 2番。「先見の明」「世のため人のため」…なんかどっかの人類のリーダー(自称)みたいなこと言ってるね。だが手段が狂っている。
- 「なぁ、ダニみたいな…」「愚図は認知すらされない」これな〜…本当に辛いのって誰からも見向きもされないことなんだよな。軽率にわかると言いたくないけど言わせて。わかる。というかこの辺が1stブレイクの「雪解」で「聞こえる?僕の声が」が届かなかった世界線みたいで辛くなってしまった。
- 地の底の景色が「本当に綺麗に見えるんだよ」これってもしかして雪解で飛び込んだクレバスの先にここがあったりします?
- 「ちょっと面白い死に方が理想」と言っていた大瀬が笑いしか出なくなるほど地に落ちた姿、それを見せつけてからの「君も笑い飛ばしてくれよ」 。この言葉が怖くもあり寂しくもあった。もう戻れないほどの地の底へ来てしまって、多分大瀬にとってはここが大一番の舞台なんだろう。ラストイヤーのM-1みたいな。ここまで来て、ここまでして、なにも得られないのって悲しすぎるから。
- 「大瀬!Hell yeah!!」ここ大瀬ってガッツリ言ってんだ!?「oh say!」とかだと思ってた勝手に…笑ってくれたかはわからないけど、このレスポンスがあったから「君も笑い飛ばしてくれよ」へのアンサーがゼロだったわけではない、そう解釈していいか?させてくれ。
- 「自縄自縛の閻魔様」このワードめちゃくちゃ好きだ。序盤の閻魔大王要素も回収。自縄自縛、多分自らに罰を与え続ける生き様がまさにそれで、自分を自分で裁き続けてきた苦しみなんだろうな。
- 光の届かない地の底で君が眩しがったものの名前を教えてくれ
総括。
ものすごい刺々しい武装の中に柔らかく生々しい肉が生きている、逆アイアンメイデンみたいな歌。
近似値
多分これが好きな人はゴールデンボンバーの「SHINE」好き。自分を守るためにナイフを研ぎ澄ます歌です。
カリスマハマって割とすぐくらいの時に大瀬のイメソンをゴールデンボンバーの「今夜も眠れない(病的な意味で)」にしていたのだが、割といい線いってたのかもしれない。
卑屈な凶暴性という点ではかなり近い値です。
あと上坂すみれの「パララックス・ビュー」もちょっと感じました。この辺は人それぞれ。
とりあえずドラマ履修してここまで来てくれ
改めてカリスマが「リアルタイムで味わうことで旨みが増すコンテンツ」だということを再認識した。
今なら7時間40分くらいでここまで来れるから這い上がってこい!待ってっからよ!